尾道造酢の現場

匠みの技と自然が呼吸する

先人から受け継いだ伝統の技法と、440余年前から受け継いできた酢酸菌。
尾道造酢はひたむきに、ていねいに、酢作りの歴史を紡いできました。
尾道造酢の発酵方法は特許もとった特殊な方法で、
職人が365日一日も休むことなく
手をかけ、目をかけ、心をかけて、その味を守っています。

こだわりの製法

酒粕を熟成

まず、広島県の酒蔵から酒粕を仕入れます。
その酒粕をまず空気が入らないように踏み込みながら熟成タンクの中へ仕込んでいきます。
1つのタンクへ酒粕を700㎏。密閉状態にして3年以上熟成させます。
3年の熟成期間を経て、純白の酒粕が茶褐色に変わると、ようやく次の工程に進みます。

仕込み液造り

圧搾機(ふね)

3年以上熟成させた酒粕をお湯で溶かしていきます。
ここでの酒粕の溶かし方によって味の濃さが変わっていきます。
タンクの中で撹拌させながら酒粕を溶かし終わったら粗濾過です。
日本酒蔵で使われていた圧搾機(ふね)という物を使っています。
酒粕汁を濾布に入れていきます。
船の中に濾布を積み重ねていき最後に上から重しをのせます。
さらに圧をかけていき綺麗な酒粕汁を抽出していきます。

酢酸発酵

綺麗な酒粕汁を水平発酵槽に流し込み酢酸菌を移植していきます。
尾道造酢の発酵方法は表面発酵の分類に入り特許も取った水平式連続発酵方法という独自の発酵方法でお酢を造っています。
ゆっくりとアルコールの入った仕込み液をながしていくと流れるプールの様にゆっくりの出口へ向かっていきます。
その過程で、酢酸菌がアルコールを食べながらお酒をお酢に換えていってくれます。
独自の発酵方法は毎日365日菌のお世話をしてあげなければいけませんがその分、ずっと良い状態の菌を保つこともできます。
常に良い状態の菌を保ち毎日菌のお世話をすることでまろやかで香り豊かなお酢が出来上がります。

熟成

熟成タンク

酢酸発酵が終わったお酢を熟成します。
弊社では最低半年は熟成させてから出荷するようにしています。
熟成させることにより旨味や芳醇な香りが増すます。

殺菌・充てん

熟成が終わったお酢を使用して充填室にてビン詰め・ペット詰め作業をする場所です。
安心安全な商品を全国のお客様にお届けするために最新の注意を払い作業をしています。

検瓶作業

お客様のもとへ

職人さんの声

440余年受け継がれる酢酸菌と発酵技術

(左) 丸尾 好弘、(右) 丸尾 仁人(工場長)

400年前に尾道にお酢の造り方が伝えられて以来、
造り方は少しずつ変わりながらも酢酸菌だけは
400年前の菌を受け継いでいます。
その菌を大切に育てていくために365日欠かさず菌のお世話をしています。
入社60年、酢の道一筋 丸尾好弘(元工場長)が大切にしている思い「伝統を重んじお客様のことを考えながら毎日の作業を丁寧に仕上げていくこと」は、現工場長でもあり息子の丸尾仁人(現工場長)へ受け継がれています。
昔からある物や道具・技術・先人の知恵を大切にしていきながら新しい物造りにも挑戦し続けています。